【おむつかぶれとは】
おむつかぶれとは、おむつで覆われた臀部~外陰部の皮膚に生じた皮膚炎のことです。おむつの中に排泄された尿や便による刺激が主たる原因ですが、おむつ内の蒸れや常在菌の増殖などさまざまな要素が皮膚炎と関連しています。おむつかぶれには、単に皮膚が赤くなるのみの軽度のもの・丘疹=ぶつぶつができるものから、表皮が剥がれてジュクジュクと強い痛みを伴う潰瘍(かいよう)や「びらん」が見られるものまで、様々な症例があります。
一般には乳幼児に多い病気として知られていますが、近年高齢化社会が進んでいることから、寝たきりの高齢者や認知症患者が増え、おむつかぶれを発症する高齢者も増加傾向にあります。高齢者がおむつかぶれを発症した場合、患部の皮膚が弱まり褥瘡(じょくそう=床ずれのこと)を起こしやすいため、注意が必要です。また、おむつかぶれは症状が治まっても発症を繰り返しやすく、慎重に管理していかねばなりません。
【おむつかぶれの原因】
おむつかぶれは、尿・便の排泄があったにもかかわらず,速やかにおむつ交換が行われず、長時間排泄物が皮膚に接触し続けることで発症してきます。おむつの着用による外陰部や臀部の皮膚、粘膜の蒸れによって、皮膚は排泄物による刺激を受けやすい状態に置かれています。また、一度おむつかぶれになった皮膚や粘膜のバリア機能は著しく低下するため、皮膚や粘膜の深層部分にも炎症が及び、正常な皮膚の構造が壊され、表皮が剥がれてしまうことも少なくありません。
さらに、高温多湿なおむつの中に排泄物がたまることを原因として、大腸菌やカンジダ(真菌の一種)などの微生物が増殖しやすい状態となります。これらの細菌・真菌が異常に増殖し、皮膚に炎症を引き起こす例もあります。
【おむつかぶれの症状】
おむつかぶれには、その程度や肌質、おむつの着用時間、排泄物の多さなどによって、様々な症状が見られます。
例えば、外陰部周辺や肛門、太腿の付け根、下腹部など、おむつに当たる部位が赤くなったり、丘疹が現れたりといった症状が現れます。赤みの症状には痒み・痛みを伴う場合もあります。症状が重いと、表皮(皮膚の表面)が剥け、ただれてしまうケースもあります。
また、おむつの中は高温多湿で、カンジダという真菌が増殖しやすい状態のため、さらなる炎症を引き起こすこともあります。カンジダによる皮膚炎を発症すると、臀部や外陰部が赤くなり、小さな膿を持ったボツボツ(膿疱)が散らばるような症状を生じます。ただしこの場合は、見た目よりも症状が軽く、痒み・痛みは少ないことが特徴です。
【おむつかぶれの治療】
おむつかぶれの症状が比較的軽度な場合は、特別な治療をしなくても、外陰部や臀部を丁寧に洗浄したり、おむつを頻繁に交換したりする等、日常のケアで自然と改善していきます。しかし、湿疹や表皮の剥離が見られる重度なおむつかぶれの場合には、炎症を鎮める為にステロイド軟膏を用いて治療するのが一般的です。
またカンジダによる皮膚炎の治療には、ステロイド軟膏を塗ると返って炎症が進行することがあるので、「抗真菌薬」の軟膏を使用します。薬を用いる場合、きちんと医師による診察を受けたうえで、原因を特定してから治療するようにしましょう。
【おむつかぶれの日常生活上の予防・注意】
おむつかぶれを予防するには、おむつに当たる部位を清潔に保つことが一番です。 おむつ交換の際には、赤ちゃんのお尻を極力こすらないように、優しく拭いてあげます。 尿や便を拭き取りにくい時は、温めのシャワーで洗い流すと良いでしょう。 また、タオルは清潔なもので、赤ちゃんの肌をポンポンと優しく抑えるように使用し、水気を完全に拭きとってからおむつを履かせてあげましょう。