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【掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは】
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、手のひらや足の裏に膿疱(膿がたまった小さな水疱)が現れる慢性的な皮膚疾患です。継続性が特徴で症状によっては患者が日常生活に支障をきたすことがあり、生活の質(QOL)を低下させることもあります。掌蹠膿疱症は、膿にウイルスや細菌は存在しないので、感染リスクは少ないですが、稀に水虫の合併が疑われる場合がありますので、当院では顕微鏡で検査するなどして原因をしっかりと特定した上で治療を行います。
【掌蹠膿疱症の原因】
掌蹠膿疱症の原因はまだ完全にはわかっていません。
いくつかの要因が関与していると考えられています。
特に喫煙は掌蹠膿疱症の発症や症状に関連していることが多く(発症者の約80%が喫煙者)、
最近の研究では、掌蹠膿疱症が自己免疫疾患の一種である可能性も指摘されており、免疫系の異常な反応が原因とも言われています。
歯科金属アレルギーが関与していることもあるので、金属アレルギーが疑われることもあります。
【掌蹠膿疱症の症状】
掌蹠膿疱症は以下のような症状が現れます
- 手のひらや足の裏にできる小さな膿疱や皮膚の赤み
これらの膿疱は、かゆみや痛みを伴い、不快感を伴います。 - 掌蹠膿疱症の進行によって、皮膚がひどく硬くなる角化(かっか)。
- 皮膚が割れやすくなり、ひび割れが見られることもある。
- 爪がでこぼこしたり、変形することもあります。
これらの症状が悪化すると、日常生活での作業や歩行に支障をきたし、掌蹠膿疱症の一部の患者では症状がひどくなることで関節痛を伴うことがあり、手や足を使う動作が困難になるケースも報告されています。さらなる不快や痛みを感じることがありますので、「もしかしたらこの症状って掌蹠膿疱症かも?」と思われましたら、できる限り早めに治療を開始していただければと思います。
【当院の掌蹠膿疱治療】
掌蹠膿疱症の治療は症状の軽減と再発予防が中心となります。
〈軽症の場合〉
当院の治療第一選択は「ステロイド外用薬」や「ビタミンD3外用薬」を処方し、かゆん、赤み、炎症などを抑え経過観察します。かゆみがある場合は「抗アレルギー薬」「ビタミンA誘導体」「免疫抑制剤」を併用することもあります。
〈症状が比較的強い場合〉
症状が強い場合や広範囲の場合、
もしくは外用薬治療を避けたいという方には紫外線療法(紫外線療法)を行います。
手のひらや足の裏などの患部が小さい場合はVTRACというターゲット型のエキシマライトを使って患部に308nmの波長のライトを照射します。
数秒~数分の短時間照射で終わり、痛みなども全くありません。
患部が広い場合は
ダブリンという全身型のナローバンドUVBを使って患部に311nm~313nmの波長のライトを照射します。
全身になるので照射時間は5分~10分程かかりますが、一気に照射されるので効率的に治療を行うことができます。
どちらの機器を使っても照射するとかゆみや赤みがおさまる方が多く、掌蹠膿疱症であれば保険適用となります。(3割負担の方で約1,000円の自己負担)ただし掌蹠膿疱症の光線療法(紫外線療法)は1週間に1回~2回程度照射すると効果が出やすいため、定期通院が必要になります。当院ではまず患者さんの状態を診させていただき、患者さんのご通院スタイルや費用面などを考慮した上で、光線療法(紫外線療法)をご紹介させていただいております。
【掌蹠膿疱症の日常生活の注意点】
掌蹠膿疱症は日常生活においてご注意いただくことで症状の悪化を防ぐことができます。
- 禁煙は掌蹠膿疱症の管理において最も重要な要素の一つです。喫煙を続けると、掌蹠膿疱症の症状が悪化する可能性が高くなるため、症状が現れた方はお辛いでしょうけれども禁煙していただきたいと思います。
- 手や足の清潔を保ち、皮膚の乾燥を防ぐことも大切です。
- ストレス管理も掌蹠膿症の症状コントロールに非常に有効です。
ストレスが症状を悪化させる要因ともなるので、リラクゼーションや適度な運動など、日常生活の中でストレスを軽減する工夫を心掛けていただきたいと思います。