- HOME
- 皮膚科・アレルギー科
- 白癬(水虫)
白癬(水虫)とは
白癬(水虫)は白癬菌という真菌(カビ・キノコの仲間)の一種が、皮膚表面の角層に寄生することで発症する疾患です。
約9割が足の水虫ですが、頭部、顔面、胴体、陰股部、殿部など、皮膚の表面であればどこにでも発症することがあります。
白癬に罹患した部位からは、目に見えないような小さい角質のかけら(鱗屑)が少しずつ剥がれ落ちています。
鱗屑の中の白癬菌は、場合によっては数ヶ月以上も生き残っていて、健康な皮膚に付着することで新たな感染の元になります。
白癬菌は、水虫患者のいる家庭内のほか、不特定多数の人が裸足で利用する銭湯・プール・ジムなどの床に大量に存在していますから、こうした場所を利用する際には白癬にかからないような注意が必要です。
白癬(水虫)の種類
[足白癬]
- 趾間型・・・足指の間が赤くただれたようになったり、皮がむけたりします。
- 小水疱型・・・足の裏に小さな水疱ができて、皮がむけてきます。かゆみが強いのが特徴です。
- 角質増殖型・・・足の裏全体の角質が厚く、硬くなって、カカトなどにひび割れを生じます。
[爪白癬(爪の水虫)]
- 足の爪が部分的に白く濁って、爪の下からは、ボロボロと粉のような角質が出てきます。
- 爪の表面に白い雲母のような変色が見られるタイプもあります(表在性白色型)。
- 指先が湿りやすい生活を送っている人では、手の爪に白癬を生じることもありますが、爪カンジダ症との鑑別が大切です。
[体部白癬(ゼニタムシ)]
- 顔面、胴体、手足などに白癬菌が感染すると、丸い輪のような発疹が生じます。
- イヌ、ネコなどのペットから感染する白癬菌(ミクロスポルム・カニス)や、柔道、レスリングなどの格闘技で感染する白癬菌(トリコフィトン・トンスランス)など、特殊な白癬がしばしばみられます。
[股部白癬(インキンタムシ)]
- 股の付け根から太ももの内側に向かって拡がる円弧状の発疹を生じます。
- 自分自身の足白癬や爪白癬から感染して発症するケースが多く見受けられます。
[頭部白癬(シラクモ)]
- 毛髪が根本近くで折れて脱落し、円形の脱毛班が生じます。
- 体部白癬と同様に、ペットから感染する白癬菌や格闘技で感染する白癬菌によるものが多く見られます。
白癬の診断
- 発症した部分の角質、爪、毛髪などを少量採取して、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。
- 必要に応じて試験管培地に検体を接種し、原因となった真菌の分離培養を行います。
白癬の治療
当院では白癬(水虫)の治療は以下の方法で行っています。
患者さんの皮膚の状態に合わせて適切な治療を行います。
[外用薬]
- 足白癬、体部白癬、股部白癬では、白癬菌に効果のある薬(抗真菌剤)を含んだ塗り薬での治療が一般的です。
症状が目に見える部分を越えて白癬菌が存在していることがあるため、なるべく広めに薬を塗る必要があります。
例:足白癬であれば、革靴で覆われる範囲全体に外用します。 - 感染した部位の角質が完全に入れ替わるまで外用を続けないと、症状が再発しやすくなります。
外用薬の使用に関しては医師の指示に従い、自分の判断で使用を中断しないようにしてください。
例:股部白癬であれば1ヶ月以上、足白癬であれば3ヶ月以上、外用を続けます。 - 軽症から中等症の爪白癬に効果のある塗り薬がありますが、治癒するまでには1年以上の期間が必要となります。
[内服薬]
- 塗り薬では効果の出にくい爪白癬、頭部白癬などでは、飲み薬での治療が主体となります。
内服は3~6ヶ月間継続する必要があります。
安全に治療をすすめるため、定期的な血液検査を実施します。
白癬の予防と生活上の注意
白癬(水虫)の予防には生活上での注意が大切です。
当院では日常生活でお気をつけいただきたい。
以下の点をお伝えするようにしています。
・体を清潔にする
体を丁寧に洗いましょう。
特に足は感染しやすい箇所ですので、足の指までしっかりと洗うようにしてください。
・足を乾燥させる
お風呂から上がった後はしっかりと水気を拭き、乾燥させるようにしてください。
・靴、靴下の湿気を避ける
靴は通気性のよい物を履くようにしてください。
同じ靴をずっと履き続けるのではなく、2足の靴を用意して一日おきに靴を履き替え、前日履いた靴はよく乾燥させて下さい。
・白癬菌で汚染した場合
水虫の患者さんが靴を脱いで利用した場所(公衆浴場、プール、ジムなど)や物品には白癬菌が高率に存在しています。
他人が使用したスリッパ、サンダル、バスマットなどの共用はできるだけ避けるようにしましょう。
自分の足が白癬菌で汚染した可能性が疑われる場合には早めに入浴して両足をきれいに洗うようにして下さい。